米国通表代表宛レター −和訳−

IIAB日本協会、高橋会長よりIIABA CEOへ礼状

米国通商代表スーザン・シュワブ氏からの返事 −和訳−

通表代表宛レター −和訳−

2006年8月29日

600 17th 通り、N.W.
ワシントンD.C. 20508
スーザン・シュワブ米国通商代表

私は、日本において、米国の保険会社と日本の代理店やブローカーが直面しているビジネス上の障害について、アメリカ独立エージェント&ブローカー協会(IIABA)と日本会員を代表し、それを縮小するために援助していただきたいと思いこの手紙を書いています。

IIABAは最も長い歴史を持つ米国最大の独立エージェント及びブローカー協会です。全米における会員数は、エージェント、ブローカー、その従業員を合わせると30万人に上ります。当協会の会員は、顧客に様々な保険会社の商品を提供し、顧客に選択してもらう仕事に携わっています。独立エージェント及びブローカーは、保険全種目−財物保険、賠償責任保険、生命保険、医療保険−だけでなく、従業員福利厚生商品や年金商品を扱っています。

IIABAの会員は他国、例えば、日本にもおります。日本の会員数が増大し、日本会員との関係が深くなるに伴い、日本会員が問題に直面していることを知りました。正確に言いますと、既存の市場構成、そして、米国保険会社の企業保険市場への進出を妨げている規制についてです。

ご存知のように1990年代半ば、日米保険協議によって日本では規制緩和が行われました。しかし、米国の保険会社は、日本の代理店やブローカーを通じて企業保険市場に参入することを妨げられています。理由は、日本の金融サービス市場における歴史的な構造とその加担者が、企業内代理店を設立し、大部分の企業保険をコントロールしているからです。外国保険会社の日本の企業保険市場におけるシェアは5%以下です。米国の保険会社の企業保険市場への参入は効果的に妨げられています。同様に、これは、米国の保険会社にアクセスしようとする日本の代理店やブローカーの市場を縮小させています。

現在、企業内代理店が扱う親会社・関連会社の契約については、金融庁による規制があります。しかし、この規制には競争を抑制する適用除外条項があり、この部分を改正する必要があります。金融庁がこの部分を改正しない限り、米国の保険会社が企業保険市場でシェアを獲得することは殆ど不可能でしょう。規制とは、自己契約・特定契約比率が50%以下でなければならない、とするものですが、既存代理店に対する措置として、適用除外条項があります。これは、平成8年3月31日以前の登録代理店については、当分の間、対象保険契約は、火災保険、自動車保険、及び傷害保険としていることです。即ち、賠償責任保険、使用者賠償責任保険、保証などの契約については、親会社や関連会社の保険を何の制約も受けず獲得してもよいということです。

私は、IIABAと全米および海外の会員を代表して、この規制および適用除外条項を改正することを、金融庁に働きかけて頂くようお願いしたいと思います。この規制法の改正により、米国の保険会社は日本でビジネスを拡大し、それは、同時に、日本の代理店やブローカー、そして、消費者に利益を与えることになるでしょう。

この10年間、日本の保険市場は規制緩和が行われてきましたが、米国の保険会社、日本の代理店やブローカー、そして、日本の消費者のためには更なる市場開放が必要です。

ぜひとも、あなたのご援助を頂きますようお願い致します。そして、この日本の障壁について情報が必要でしたら、提供いたしますので、どうぞお知らせ下さい。

ロバート・ラズバルト
CEO
アメリカ独立エージェント&ブローカー協会



御礼

2006年9月19日

IIABA
ラズバルトCEO殿

拝啓 初秋の候 ますますご健勝にてご活躍の段大慶に存じ上げます。今般貴職よりUSTRに対し、日本の独立系保険流通が抱える課題に関し、意見具申をいただき心から感謝申し上げます。

日本の保険流通の環境は、銀行での窓口販売の全面解禁に加えて、郵政の参入も来年に迫りました。これら金融機関の参入は独立代理店の市場と競合いたします。

一方、企業内代理店の規制については野放しであり、保険会社にとっても競争のない状況です。

我々の見解として、企業内代理店が職業人として貢献するのであれば、問題にするつもりはありません。しかし実態は、親企業と保険会社の力関係で決定され、何も働かず手数料を得る構造を改革しなければならないと考えます。この構造はまさに系列取引であり、指弾されるべき問題であると確信いたします。

日本の心ある代理店・ブローカーは、この問題に挑戦して参りました。外資系保険会社協会やブローカーとも連携しましたが、金融庁と保険会社の壁が厚く、前進できないまま今日に至っています。

今般、ラズバルト会長からUSTRに問題提起いただきましたことは、我々IIAB Japanの会員にとっても希望が抱ける展開です。同時に、外資系保険会社にとっても、大きなビジネスチャンスの創造であります。

保険流通に「夢と希望」「自信とほこり」を標榜する我々に、今後ともご支援賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。

最後になりましたが、IIABAの発展を祈念いたします。

敬具

IIAB Japan
高橋亜紀央



米国通商代表スーザン・シュワブ氏の手紙 −和訳−

2006年9月29日

ロバート A. ラズバルト様
CEO
アメリカ独立エージェント&ブローカー協会
412 First Street, S.E.
Suite 300
ワシントンD.C.

ラズバルト様

日本の企業保険に関する手紙ありがとうございました。

日本の保険市場へのアクセスの改善は、日本との通商会議における議題の内の重要な鍵(key part)です。あなたが手紙の中で指摘された問題については、我々は、既に日本の担当者(Officials)に提起しております。

近日中に、私のスタッフはIIABAの代表者にお会いいたします。目的は、御協会が抱える問題点を理解するためです。この重要な市場(日本のこと)に、米国の保険会社がこれまで以上にアクセスできるための交渉を有効に進める機会を頂くことを期待いたしております。(We look forward to this opportunity to enable us to more effectively advocate on behalf of U.S. companies seeking further access in this important market)

この問題を我々に提起してくださったことを感謝いたします。

スーザン C. シュワブ
米国通商代表
ワシントンD.C.